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実は優秀?就職氷河期世代が持つ5つの強み・特徴

就職氷河期世代とは、バブルが崩壊した90年代初頭〜2000年代前半頃に新卒としての就職が難しかった世代を指しています。非正規雇用から最初のキャリアが始まったことなどから、離転職などを繰り返すなど、その後のキャリアも不安定なままという課題があります。昨今は、その動きを見かねてようやく政府が本腰をあげて動き出し、氷河期支援が広がっています。実際、各自治体などでも氷河期世代限定の採用が始まり、一部企業もその動きに追従しています。こうして氷河期世代の問題解決に向けた動きが見られるものの、氷河期世代の数は2000万人近いと言われるので、解決は依然として道半ばといえます。

氷河期世代の人は、これまで人に誇れるようなキャリアを歩めなかったために、「自分には何の取り柄もない」と思ってしまいがちです。その自信のなさが積極的なキャリアアップのモチベーションを引き下げたり、面接の場で堂々と話すことができず良い結果をあげることができなかったりしたかもしれません。マイナス思考は、やはり表にも出てしまうもの・・・。それを変えるだけでも、今の状況から抜け出す糸口にきっとなるはずです。

氷河期世代は、よく「仕事が続かない」「外交的じゃない」などと否定形で語られることが多いですが、実はその仮説はただの当てつけで勘違いなのではないでしょうか?むしろ、氷河期世代は、他の世代にはない能力があります。以下では、その5つのポイントを紹介していきます。

 

 長期的な人間関係構築に強みがある

就職できて当たり前だったバブル景気から、一気にそれが当たり前でなくなる。子供の頃当然かのように思い描いていた、結婚して子供を産んで家を買って・・という人生像がすごく難しいことだったと知る。働き口を得ることさえ、簡単なことではない・・・。

氷河期世代の人は、他の世代と比べて、当たり前(にみえること)が当たり前ではないことを知っている世代といえます。

これが仕事のどこで活かされるのでしょうか。まずは、相手への感謝の気持ちです。他者からの細かな気配りも、「当たり前」とは思わないからこそ自然と謝意が湧きやすいと考えられます。そして、その謝意こそが、信頼関係の構築につながります。

氷河期世代の人は、自信のなさから面接などであまり評価がされなかったかもしれませんが、こうした短時間1発勝負の面接などではなく、長期的な関係構築が求められる場(=日々の仕事)ではむしろ氷河期世代の人の方が強みがあるでしょう。

 自分自身や社会を客観視できる

就職氷河期世代とは、ご存知の通り、バブル崩壊の不景気下で就職がうまくいかなかった世代です。うまくいったほうがもちろんいいのですが、物事があまりにスムーズに進みすぎることにも、実は難点があります。それは、自分の行動を反省したり、客観視したりする機会が減ってしまうことです。

例えば、なに不自由なく就職・転職できた人は、就活成功の要因を振り返ることはしないでしょう。良い結果が出たのだから「ラッキー!」で終わってしまいがちだからです。でも、就職・転職がむずかしかった人は、「どこがいけなかったのだろう」と振り返ることができます(というより、就職するためには、否応なく振り返らざるを得なかったかと思います)。

氷河期世代の人の中には、「他の世代の人たちはみんな正社員なのに、どうして自分たちの世代だけが・・・」と思ったことがあるかもしれません。それまでは、自分も社会の一員であると感じていたのに、急に社会から取りこぼされた感覚を覚えてしまいます。

でも、そうした”外”からの視点を持つことこそ、仕事をする上で大切な能力ともいえます。アウトサイダー的な視点は、冷静に状況を分析する力や、外部視点ならではの新しい発想につながります。

 新しい時代のリーダー像になれる

時代の変化により、求められるリーダー像も変わりつつあります。昔は、トップダウンでバリバリと指示をし部下を引っ張ていくリーダーが求められていました。しかし、昨今は部下の気持ちを推し量りながら彼らのやる気を引き出すことで、チーム全体のパフォーマンスを上げる、というようなボトムアップ型のリーダーが求められています。

氷河期世代の人は、おしなべると真面目で内向的なタイプが多いですが、むしろリーダーになれる器を持っていると考えられます。内向的な人の方が、他者の気持ちになって考えられる”共感力”が高いからです。外交的な人は自分のアイデアを過信しがちですが、内向的な人は他者のアイデアをうまく引き出すことができる(結果的に、部下は次も「頑張ろう」と思い、新しいアイデアが生まれやすい環境ができます)と言われています。

ちなみに、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)やラリー・ページ(google創業者)、マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)などの起業家が内向的な人物として知られています。

 離転職回数の多さは経験の多さ→経験を仕事に活かせられる

氷河期世代の人は、アルバイトから正社員までの雇用形態はさることながら、様々な職種を転々とした経験がある傾向にあります。離転職回数の多さが、転職活動の際にマイナスに働く時は確かにあります。

しかし、様々な職を経験しているからこそ、これまでの職場経験を活かしやすいと考えられます。例えば、BtoC(一般消費者を相手にする商売)の小売店でレジ打ちとして働いていた経験があり、次にBtoB(企業を相手にする商売)の会社で営業として働く場合です。小売店での経験から一般消費者の消費性向(=何が売れるか)を知っているので、小売店向けの営業マンとして働く際には「これが売れますよ!」という提案を自信を持って行うことができます。

また、小売店は、卸売会社から商材(=消費者へ売るもの)を買う立場でもあります。ものを「売られる」側の気持ちが分かっているので、ものを「売り込む」時には必ずや活かされるはずです。例えば、「この商品をぜひ店頭に置いてください!」と押し売りをされて嫌だった経験があるのであれば、次に自分が営業マンとして働く際には、押し売りではなくまずはお客さん(=小売店)が何に困っているのか?をヒアリングをしてからその悩みに合わせた商品を提案しよう、という活かし方があるかと思います。

 自分を知っている

氷河期世代の人は、仕事にありつけなかったブランクの時期があったかと思います。仕事がない時期は、一人の時間が多いぶん自分と向き合う時間も多かったと思います。「自分は何がしたいのか」「自分は何が好きなのか」「どういう人生を歩みたいのか」などを考えた経験が一度や二度はあるでしょう。このようにして自分の価値観を確立しておくことは大切です。仕事においても、自分の価値基準を持っておくことで、日々の業務の優先順位を選別したり、どの仕事にどれだけのリソースを充てるかを適切に判断することができるようになります。つまりは、判断上手になれるということです。

また、「自分は何がしたいのか」という疑問に対し、必ずしも答えはでなかったかもしれません。答えがでなければ意味がないと思われるかもしれませんが、そうではありません。なぜなら、自問自答できること自体が、あなたに思考力が備わっている証拠だからです。ネット検索をすれば何でも答えが見つかる今の時代、答えがでないことに対し執念深く思考できることは貴重な能力といえます。


氷河期世代の優秀さについて紹介してきました。冒頭で書いた通り、マイナス思考から抜け出すだけでも、変化の兆しが見られるはずです。まずは「仕事が続かない」「外交的じゃない」といった氷河期世代へのネガティブイメージから、あなた自身が抜け出せることが大切です。それらは、世間から思い込まされているイメージにすぎません。ネガティブイメージをポジティブなものに積極的に変換していきましょう。